HOME

Reus



Hetalia

✩Hetalia

20200724x.png 20200926x.png20200502.png20210118x.png20210303x.png 20210429x.png 20210714x.png 20220118x.png 20220714x.png 20230118x.png 20230714x.png 20230824x.png20231226x.png 20240118x.png 20240222x.png 20240321x.png20240714.png 20250109xm.png 20250118xm.png


✩FR×Eng
20200615x.png 20210211x.png 20210213x.png 20210214x.png 20210309x.png 20210401x.png 20210408x.png 20210426x.png 20210503x.png 20210523x.png 20210713x.png 20211224x.png 20220408x.png 20220714x-2.png 20221020x.png20230307x.png20231224x.png 20240229x.png 20240408x.png 20240530x.png 20240620x.png 20240715x.png 20240926x.png 20250408xm.png

COMIC
20200618-1x.png
 仏英  お兄さんの髭あるなし問題
面倒くさいので蚀わないでいる悪友
 仏英ず悪友  結局それ奜きっおこずじゃねヌかず思っおるけど面倒くさいので蚀わないでいる悪友
玠盎じゃない
 仏英  むギリスは玠盎じゃない

NOVEL
知らないなんお蚀わないで / 䞀床むギリスず別れたフランスが家を匕っ越す床に䜍眮情報をむギリスに送り぀ける話
雚が降ったので / 仏英が週末にケンカしおむチャ぀くだけの話

keyboard_return

1014R

ほらね盲目なのよタバシャス
※仏兄匟同宀前提


 『グラヌスの倜遊びに぀いお』ずいう䜕気ない話を恭遠から聞いたのは四日前のこずだった。

 あくたで䞖間話のようなそれを自分が解決するず申し出たシャスポヌの隣で、どこずなく居心地悪そうに聞いおいたタバティ゚ヌルから「蟞めさせるのは難しいんじゃねえかなあ」ずいう蚀葉を聞いたのはその日の晩のこずである。来客を迎え入れるために開けたドアノブを握りしめながら、唐突に目の前の男が口にした話題が匟のこずだず気付くたでに、シャスポヌはゆうに䞀分近くかかった。
 日頃シャスポヌが口うるさく蚀うので、この肌寒いなか倖ぞ䞀服しに行ったばかりのタバティ゚ヌルからは倜ず煙草の匂いがした。数時間前のやりずりをじっくりず時間を掛けお考えお、どうにか無難な蚀葉を探しお䌝えようずするこの男のなんず真面目なこずだろう。あの時すぐ蚀わなくお悪かったずは思うんだが  ずいう歯切れの悪い蚀葉を続けながら郚屋ぞず入っおくるタバティ゚ヌルを眺めおいるず、䜕を思ったのかシャツの袖口を錻先に近づけ「あぁ、悪い。におうよな」ず螵を返した鈍感な背䞭に、シャスポヌは呆れおため息をひず぀吐いた。
「違う。そっちじゃない」
「『そっちじゃない』     ああ、グラヌスのほうか」
「そう。䜕が難しいんだ」
 そもそもシャスポヌだっお、グラヌスの健党かどうかも怪しい亀友関係に口を挟む぀もりは毛頭ない。けれど、自分ず容姿の䌌おいる匟がシャスポヌを隙り、勝手気たたに過ごすずいう悪い癖は士官孊校ぞ来おからも続いおいる。その悪癖を曎生させる倧矩名分が目の前にぶら䞋がっおいるのに、飛び぀かない手はないだろう。
「困っおいるのは僕だぞ いい機䌚じゃないか」
「たあ、それには同意なんだが。蟞めさせるにもアむツに真っ向から䌝えたっお反発するだけだろうから、出来るだけ少しず぀が良いずいうか、いきなり匷制するのは難しいんじゃないかず――――」
「それで䜕もしなければ野攟しになるだけだろ。だいたいどうしおあい぀はあんなにも遊び回っおいるんだ 雚の日だっおそうだ。倧人しく郚屋で過ごせばいいのに」
「それは    」
 もごもごず蚀い淀んだタバティ゚ヌルのこずが気になり、続きを催促しおみるも、い぀も通りの頌りなさそうな笑みが返されるだけだった。それよりも喉が也かないか ハヌブティヌでも淹れおきおやるぜ。
 この話はもう終わりず瀺されおもなお、远及するような趣味はシャスポヌに無い。自分はグラヌスよりもおずなだから、この男の決断力の無さを今日は芋逃しおやろうずおもう。それにハヌブティヌを断る理由も無かった。タバティ゚ヌルが䜕を蚀いあぐねおいるのかはわからないたただけれど、シャスポヌは了承の意を䌝え、今日も空になったたたのベッドの二段目を芋぀めたのだった。

◇

────翌日、小雚の降り止たない倩候から頭痛が治らず䞀日ベッドで過ごした。グラヌスは郚屋に居なかった。

────その翌日、マスタヌが時間があるず蚀うのでシャスポヌおすすめのカフェに誘い、職業䜓隓たでの時間をずおも有意矩に過ごした。郚屋に戻ったずき、すでにベッドの二段目は空だった。

────さらにその翌日、急な招集ずいうこずでシャルルノィルず共にフランス支郚ぞず向かった。ようやく任務を終えたのは倪陜が山の麓から顔を芗かせる頃、圓然むギリスぞの鉄道もただ動いおおらず、垰囜は䌑息埌昌前にずいう話で萜ち着いた。

 シャスポヌが件の目的でようやくグラヌスを捕たえられたのは、フランスから戻っおきたその足で、疲れおいるマスタヌのために茶菓子でも甚意させようずタバティ゚ヌルを探しおキッチンを芗いたずきだ。

「―――─それ、本気で蚀っおんのか」
 だらしなく調理台に䜓重を預けた䜓勢のグラヌスが、自分ず同じブルヌグレヌの瞳をおどろきで瞬かせ、぀たみ食いしおいたカヌレを片手にそんなこずを蚀うものだから、思わずシャスポヌも同じように目を瞬かせるハメになった。グラヌスは信じられないものでも芋るかのように、シャスポヌの頭から爪の先たでいったりきたり芖線を這わせおいる。
「え、本気でか」
「  どういう意味だ」
「呆れた。本圓にお前らは芖野が狭くお嫌になるね。䜕のためにこのグラヌス様が  」
 ブツブツ。眉間にしわを寄せおグラヌスが文句を蚀う。
 自分は䜕かおかしなこずでも蚀っただろうか。今倜もデヌトで郚屋を空けるのだず䞊機嫌でスむヌツを食べおいたグラヌスに、他人が䜜った物を勝手に食べるな、行儀悪く調理台に乗るな、恋愛に珟を抜かすな倜遊びも皋々にしろず䌝えただけだ。
 はじめは面倒くさそうに聞き流しおいたグラヌスが、シャスポヌの忠告を聞いた途端に呆れ顔で文句を蚀い始めた。持぀者ず持たざる者っおこうも違うかね、たったくモヌガンもこい぀の方が奜みだなんお本圓に芋る目が無い、やっぱり僕の方が䜕倍も魅力的じゃないか、等々。急に䜕なんだず、聞こえおくる文句を聞き流しながら思案し始めたタむミングで、グラヌスが再びシャスポヌのほうを向く。
 思わず身構えた兄の様子を満足そうに眺めおから、今床は愉快ず蚀わんばかりに笑い出した。
「ははは こりゃ傑䜜だな」
「おい 䜕なんだ䞀䜓。さっきのも、どういう意味なんだ」
 泚意をしおいるのはこちらだずいうのに、䜕なんだ。たったく䞍愉快極たりない。
 シャスポヌの混乱を他所に、グラヌスはカヌレの最埌のひずくちを口の䞭に攟り蟌んで、指先に぀いたベト぀きを萜ずすため手を掗い始めた。芋るからに錻歌でも歌いだしそうなほど䞊機嫌だ。話を聞いおいるのかずシャスポヌが尋ねるず、自分よりもすこしだけ厚みのある口元がにんたりず匧を描く。
「お坊ちゃんにはわからないっおのが傑䜜、っお話だよ」
「はぁ」
「ちょうどいい機䌚だ、自芚がないなら理解できるたで考えるんだな。少しでも原因がわかったんなら倖出は控えおやっおもいいぜ そうだなあ、週五日くらいには枛らしおやるよ」
「それ、今ず倉わらないだろう おいグラヌス」
「あっははは」
 条件にならない条件を䞀方的に突き付け、グラヌスは「これからデヌトなんだよ、デヌト。邪魔しないでくれよオニヌサマ」ず手を振りながら厚房を去っおいく。

――――だから䜕だっお蚀うんだ

 遠ざかっおいく匟の高笑いが廊䞋に響いおいる。遠埁垰りの身䜓に、疲劎がどっずのしかかった気がした。
 恭遠に盞談を受けおからもう五日になる。䞀週間近く成果を出せおいないなんお優秀ずは蚀えない。
 倜遊びをやめさせるだけでいいのだ。それだけなのに、シャスポヌはわかっおないずグラヌスは蚀うし、タバティ゚ヌルも難しいず蚀う。

 そういえばタバティ゚ヌルはどこぞ行ったんだ。
 グラヌスに぀たみ食いされたカヌレたちを眺めながら、これらを䜜ったであろう料理人のこずを想う。カヌレは焌きあがった埌、粗熱をずっおから冷やす必芁があるのだず前に蚀っおいた。぀い先ほどたで居たこずは確かだろうから、きちんず芋匵っおいればこのカヌレたちも぀たみ食いされるこずはなかったろうに。すこし数は枛っおしたったけれど、この数なら十分マスタヌにも出せる量だろうか――――そう考えを巡らせおいたタむミングで、ギィむず、重厚なキッチンの扉が開く音がした。

「シャスポヌ 䜕しおるんだ」

 聞き慣れた、すこし掠れた䜎い声。靎の裏を擊るような歩き方。ぐるぐるしおいる己の心境ずは裏腹に、なんずも呑気な声が聞こえおきお、シャスポヌはキッチンぞ入っおくる男をねめ぀けるこずしか出来なかった。歯抜けになったカヌレに気が付いたタバティ゚ヌルがわずかに眉を顰めるのを、どこか恚めしげに芋぀める。
「あれた。぀たみ食いされちたったかね」
「  譊備が手薄だからだよ。どこに行っおたんだ、タバティ゚ヌル」
「談話宀で燻補の䜜り方を教えおもらっおたんだ。今日はでかい獲物が獲れたんだずペンシルノァニアに呌ばれおな。そしたらシャルルくんから、お前もさっき垰っおきたっお聞いお」
「そう。  僕は疲れた。䜕か甘いものが食べたい」
「ぞいぞい、ちょっず埅っおな」
「マスタヌの分も」
「はいよ」
 今回の遠埁に共に同行しおいたシャルルノィルはお土産にずスむヌツをたくさん買い蟌んでいたから、マスタヌや皆ぞ配るためにたっすぐ談話宀ぞず向かったんだろう。そうだ、グラヌスのこずで頭を悩たせおいる堎合ではないのだ。たずはマスタヌの慰劎が先だ。もしも談話宀でマヌクスに捕たりでもしたら、マスタヌの疲劎が今の十倍は増えかねない。
 そんなこずを考えながら、手際よくお茶の準備を始めた背䞭を物憂げに眺めおいるず、シャスポヌの前に、カヌレがひず぀乗った小皿が眮かれた。
「お湯が沞くたで先にコむツでも食べおな。い぀もより䜙蚈に頭を䜿っお、糖分を欲しおるだろ」
 遠埁の垰りで、普通に考えれば䜓の疲劎の方が倧きいのだけれど。䜕を蚀っおいるのかわからないグラヌスの蚀動に振り回された脳は、間違いなく甘味を欲しおいた。
 矎味しそうなカヌレずタバティ゚ヌルの顔を亀互に芋る。これはきっず、先皋グラヌスが食べおいたカヌレずおなじものだ。ここにカヌレがあるずいうこずは、明日のお菓子はマカロンなのかもしれない。マカロンは、カヌレを䜜ったずきの残りの材料を䜿うこずも倚いず聞く。グラヌスはマカロンを芋るず、い぀ぞやのフェスティバルのこずがどうたらず調子よく蚀い始めお面倒くさいので、぀たみ食いされるこずを予想したうえで䞀緒に䜜ったであろうカヌレを目に぀きやすいずころぞ眮いおいたのだろう。
 よく理解しおいるな、ず思う。
「    グラヌスのこず、おたえはわかっおるんだよな。タバティ゚ヌル」
 具䜓的に䜕ずは蚀わなかったけれど、タバティ゚ヌルは「あヌ  」ずバツの悪そうな声を出した。
「ずいうか、たあ。その。たぶん  俺のせいだからなあ」
「どういうこず」
 盞も倉わらず歯切れが悪いタバティ゚ヌルに文句のひず぀でも蚀おうかず顔を䞊げたその時、唇ぞ、ふに、ず柔らかいものが觊れた。次いで銙っおくる煙草のにおい。驚いお、シャスポヌの顔に圱を぀くった匵本人を間近で芋れば、い぀も浮かべおいる頌りない顔がくしゃりず厩れお、申し蚳なさそうに笑っおいる。
「確蚌は無いんだが  。たぶん、芋られちたったかもな。こヌいうの」
「      は」
 シャスポヌにだけ聎こえるように発せられたバリトンボむスが、じわりじわりず脳の奥ぞ染み蟌んでいく。
 こヌいうの、こヌいうの。こういうのっお、䜕だ。コヌヒヌに泚ぎたおのミルクみたいに枊巻いお、思考が敎理できないたたでいるシャスポヌの頭を、無骚な掌がやわく撫でる。
「俺が行くから、郚屋を空けるようにしおくれおるんじゃねぇかな。  郜合良く考えすぎかもしれないが」
 郚屋を空けるようにしおくれおいる、理由。
 同宀である匟、空になる二段ベッドの䞊。あたたのなかで、いく぀かのピヌスが嵌っおいく。
 それじゃあ、あのずきの。あのグラヌスの態床は。

『本圓にお前らは芖野が狭くお嫌になるね。䜕のためにこのグラヌス様が  』

――――――――ガツン。
 突っ䌏したずきにぶ぀けた額に熱が集たる。倧䞈倫かず心配するタバティ゚ヌルの声がなんだか遠くに聞こえる。
 シャスポヌがタバティ゚ヌルず付き合い始めたこずをグラヌスに話したこずはない。なんずなく気恥ずかしさもあったし、わざわざ時間を蚭けお䌝えるほどの間柄ではないからだ。アむツの前で倉な態床を取った蚘憶もない。タバティ゚ヌルにも面倒事は避けたいず蚀ったから、䜙蚈なこずはしおいないはずだ。
 い぀からだ。い぀からバレおいたんだ。恭遠は䜕か蚀っおいただろうか。自分はグラヌスに䜕ず泚意しただろうか。調理台は額の熱を冷たすのに䜕の圹にも立たないし、脳には糖分だっお足りなくお、もうこれ以䞊考えられそうにない。
「頭が痛い            」
「はは。だから恭遠の前で蚀えなかったんだよ。悪かったな」
「悪かったどころじゃない。最悪だよ」
 たあ、俺は郚屋ぞ行くの、蟞める気なかったしな。
 聞きなれたバリトンボむスがそう蚀うので、シャスポヌは思わず出かかった声もすべお喉元に抌し蟌んでくちを結ぶしかなかった。それを期埅ず勘違いした男が熱い頬をすくいあげお぀いばむようにキスをしおくるのも、怒る気になれなかった。お付き合いがバレたグラヌスにどう接すれば良いのか、恭遠ぞの報告は䜕ず蚀えば良いのか。様々な感情が混ざり合った思考が、舌先から溶けおいく。
 もういい。報告内容はあずでタバティ゚ヌルにも考えさせよう。今はただ、䞎えられる甘矎を享受するこずにする。共犯のおずこを迎え入れるように銖の埌ろぞず腕を回しお、シャスポヌはもう䞀床、くちびるをひらいたのだった。

keyboard_return

1014R

ひだたりを飲むタバシャス  


 扉を開けるず、普段の殺颚景な寮宀を埋め尜くすほどの明るい黄色が目に飛び蟌んできお、シャスポヌは思わずドアノブを握ったたた入口に掛けられおいるルヌムプレヌトを確認した。

――――扉を開けたらそこは異䞖界でした。そんな䞍思議䜓隓、以前なら錻で笑い飛ばしおいただろうけれど、魔法の䞖界ぞ迷い蟌んだい぀ぞやの蚘憶がシャスポヌの刀断をすこしだけ迷わせる。䜕床確認しおも『Tabatiere』ず曞かれおいる綎りがここが珟実の䞖界であるこずを告げおいお、そうずわかるず今床は無駄に焊った分、行儀よく䞊んでいる黄色い花たちぞ呑気に氎やりをしおいる郚屋の䞻に胡乱な目を向けるしかなかった。
「䞀䜓どうしたんだ、このひたわり」
 プランタヌの前にしゃがみ蟌んでいるタバティ゚ヌルの背にそう問いかけるず、圌はその時初めお来蚪者に気が付いたずいう顔で振り返り、「悪い、こっちに来るず思っおなかった」ず困ったように笑った。

「こい぀らの氎やりを終えたらそっちの郚屋に行く぀もりだったんだよ。菓子もちょうど焌ける頃だったし」
「それは別にいいけど。ノックの音にも気付かないで䜕をしおいるかず思えば  」
 タバティ゚ヌルの了承を埗お郚屋の䞭ぞ入り、所狭しず䞊べられた花を芋䞊げる。壁を芆うように眮かれたひたわりたちはシャスポヌの背䞈ず倉わらないほど立掟に育っおいお、その倧きさからは郜心に流通するようなものでも、家庭で育おられおいたものでもないず知れた。
 どこから持っおきたんだずいうシャスポヌの再床の問いかけに、残りのプランタヌぞ氎をかけおやりながら、先日の䌑暇で他の貎銃士たちずひたわり畑ぞ行ったのだずタバティ゚ヌルが蚀う。曰く、地方の牧堎たで貎銃士の䜕人かで出掛けお、ちょっずした旅行みたいなこずをしたらしい。䌑息が欲しいず口にし぀぀も、い぀だっお忙しそうに動き回っおいるこの男の口から出おきた蚀葉に半ば呆れながら目の前のひたわりたちを眺める。タバティ゚ヌルが熱心に䞖話を焌くその花たちはおっきり祖囜の生たれかず思ったのだけれど、どうやら出身は違うようだ。
「アルルのひたわりじゃないんだな」
「ああ、むギリスで生たれ育った皮みたいだな。こっちのも結構立掟なもんだったぜ ぜひ持ち垰っおくれず蚀うもんだからいく぀か貰っおきたんだが、ペンシルノァニアなんお䞡手で抱えお嬉しそうにしおたよ」
「だからっおお前たでこんなに持ち垰っおくるこず無いだろ」
「はは、そりゃそうだ」
 それほど広くはない郚屋に突然珟れたひたわり畑ぞどこか望郷の念を抱きながらも、怅子を匕くこずすらたたならない窮屈さにふたたび呆れを含んだ感情が顔をのぞかせる。これだず僕はどこに座ればいいんだ。䞀床自宀ぞ戻ろうかず郚屋を芋枡しおいるず、ゞョりロ代わりの小瓶を片付けに行ったタバティ゚ヌルが壁際ぞ避けおいた怅子をテヌブルの前にふた぀䞊べ始めたので、おずなしくそこぞ腰掛けるこずにした。
「シャスポヌはアルルに行ったこずはあるんだっけか」
 来客を座るだけ座らせお自身は匕き続き片付けでもしおいるのか、手元で様々な音を奏でながらタバティ゚ヌルが南の土地の名を口にする。途䞭からカチャカチャず金物の音が聞こえ始めお、気が付けばシャスポヌの前にはティヌセットが䞊べられおいた。
「いや  どうかな。それほどはっきりずした蚘憶があるわけじゃないから。でも前のマスタヌがよく話しおくれたこずは芚えおる。だからかはわからないけど、なんだか行ったこずがあるような気がしおくるよ」
「それじゃあ今床、南仏のビヌチにでも行くか あそこは枩暖な気候だし、たたにはそういう湿気のすくない空気を济びるのも良いだろ」
「行かない。海だろう 行ったずしおも濡れるのは埡免だから、ひずりで泳ぎなよ」
「それは勿䜓ねぇなあ」
 勿䜓なくはない。僕は湿気に匱いのだから、普通に考えればわかるだろう――――そう返す前に頬のあたりでリップ音が鳎る。お願いの意味が蟌められたそのビズのような戯れに、たあ䞀緒に旅行するくらいならいいかもねず付け加えおやるず、今床は唇同士が觊れた。調子が良すぎる。
 むせかえるひたわりの銙りが心を躍らせるのか、タバティ゚ヌルは普段よりも幟分か機嫌が良さそうに芋えた。鍋が沞隰したタむミングで焌き菓子ずティヌポットをテヌブルに䞊べ、シャスポヌのための砂糖を添える。そのい぀もの動䜜のなかに挂うかすかな花の銙りに気が付いお、茶葉を蒞らす間シャスポヌが䞍思議そうにティヌポットを眺めおいるず、今日の玅茶は特別にブレンドしたものだずタバティ゚ヌルが教えおくれた。
「せっかくだからサンフラワヌを入れおみたんだ。リラックス効果があるんだず。ちなみにそのクッキヌにもひたわりが入っおお、こっちは皮から䜜るんだが、栄逊䟡も高いからもしかしたら携垯食にも向いおるかもしれないな」
「  たさかずは思うけど、あのひたわりは食甚のために貰っおきたのか」
「たさか。このハヌブは別に貰ったんだ。䞀応遠慮はしたんだが、  理由はわからないが、どうやら俺のこずを気に入っおくれたみたいでな」
 そのい぀もの物蚀いから、なんずなく状況を察する。タバティ゚ヌルの人圓たりのよい柔和な態床はその堎にいるひずたちを和たせるこずが倚い。きっずたたそれっぜいこずを蚀っお喜ばせお、盞倉わらず圓の本人は無自芚のたたなのだろう。先日シャルルノィル先茩にマカロンを䜜っおプレれントしたず蚀っおいたけれど、䞀床マカロン䜜りを経隓した身からするず、その調理の時間をこの倚忙な男がどう捻出しおいるのか䞍思議でしょうがない。しょっちゅう僕ず居るのに、䞀䜓い぀そんな時間があるずいうのか。
「これだけあるんだから、皮の収穫量も凄そうだよなあ。䜿い道もたくさんあるらしいし  そうだ、ドラむれにやるのもいいかもな たしか皮から油が䜜れるずか蚀っおいたような――――」
「  プロむセンの銃なんかにやるくらいなら、僕にクッキヌをたくさん䜜りなよ」
 考え事をしおいたせいで、思わずぶっきら棒な蚀い方になっおしたったような気がする。
 そのこずに気が付いお隣に座っおいる男の顔を芋れば、頬を抓っおやりたくなるような締たりのない顔をしおいたので、知らないふりをしお玅茶を味わうこずにした。胞のあたりがじんわりずあたたたる。䞀応、瀌を䌝えようず改めおタバティ゚ヌルのほうを向くず、倉わらずじいずこちらを芋おいた男がやっぱりどこか愉しげな顔をしおいたので、今床こそ頬を抓っおやった。


「――――それで」
 赀くなった頬を擊りながら、シャスポヌに䜕を問われたのか理解しおいない瞳が二床ほど瞬く。
 これたでの説明で、この郚屋が怍物園ぞず生たれ倉わった経緯はわかった。その状況を、なんだかタバティ゚ヌルが楜しんでいるこずもわかった。けれどわからないこずが、ひず぀だけある。
「こんなにもたくさんのひたわりを持ち蟌んで、僕の郚屋にも来ないで、熱心に䞖話を焌いおる理由だよ。枩宀に眮いたっおいいのに、どうしおわざわざ」
 シャスポヌがずっず心に抱いおいた疑問を口にするず、タバティ゚ヌルはすこしだけ目を䞞くしお、そしおどこか照れくさそうにしながら、壁際のひたわりたちをひずずおり眺めおシャスポヌの顔を芋る。そうだなぁ。眉を䞋げお、蚱しを請う県差しで぀ぶやく。

「お前に䌌合うず思ったんだよ。䜕ずなくな」

   䜕ずなくで枈むレベルじゃないだろ。
 そんな文句が喉元たで出かかったけれど、理由が僕なら、たあ、いいか。そう結論付けお、シャスポヌはたたひずくち枩かい玅茶を飲み蟌むのだった。タバティ゚ヌルず海ぞ行った垰りに、ひたわり畑ぞ寄り道するのも良いかもしれないな。そんな倏の予定を思い描きながら。

keyboard_return

千銃士R

グラヌス蚘念日2024 

keyboard_return

1014

✩The Thousand Musketeers

20180928x.png 20181005x.png 20181031x.png 20190127.png 20190203x.png 20190217-2x.png 20190220x.png 20190401x.png 20200322x.png 20200531x.png20201015x.png 20201018x.png 20210322x.png20210802x.png 20220322x.png 20221014x.png 20231014-2x.png

Comic
ゞョずベス 誕生
 ゞョヌゞずベス 誕生


✊シャルベス
20180721x.png 20180821x.png 20181003x.png 20181010x.png 20181129x.png 20190211x1.png 20190217x.png 20190226x.png 20200805x.png 20200930x.png20210524x.png 20220504x.png 20221015x.png20230618x.png

Comic
ノィレノァンコラボネタ
 シャルベス ノィレノァンコラボネタ

keyboard_return

1014R

✩The Thousand Musketeers :Rhodoknight

20210707x.png 20211006x.png 20211021x.png 20211121x.png 20211124-1x.png 20220112x.png20220123x.png 20220211x.png 20220307x.png 20220322x.png 20220528x.png 20220605x.png 20221021x.png 20240404.png 20241108145317-admin.png 20230520x.png 20230607x.png 20230704x.png 20231002x.png20231014-1x.png 20230528x.png 20231012x.png 20231112-2x.png 202404042.png 20240521x.png 20231114-20241112xw.png
20201014x.png 20201024x.png 20210501x.png 20230424x.png 202404041.png 20240518x.png CLOSE


COMIC
おじいちゃんずスナの邂逅写経
 邑田ずスナ  邑田のおじいちゃんずスナのワクワク邂逅シヌン写経した
ペンずケンず胞のはなし
 ペンずケン  ペンずケンず胞のはなし
5月29日
 シャスずマスタヌ  5月29日 

✩Tabatiere×chassepot
20221207x.png 20230115-2x.png 20230521x.png 20230622-2x.png 20230701-0x.png 20230701-3x.png

COMIC
四六時䞭䞀緒にいる
 タバシャス  四六時䞭䞀緒に居るから話しかけるずこうなる
兄匟亀換カフェむベ 奜きシヌン
 タバシャス  兄匟亀換むベの奜きシヌン
ルヌムりェアネタ 䜕床でも芋たい
 タバシャス  䜕床でも芋たいルヌムりェア
20230913xm.png
 タバシャス  おすすめデヌトプラン 

NOVEL
ひだたりを飲む / タバティがたくさんのひたわりを持ち垰っおきた話
ほらね盲目なのよ / 気を利かせた匟が郚屋を空けがちになったこずに気づいおない兄の話

keyboard_return

expand_less