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Reus



Megido72

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Comic
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 カスフォカ 離れないで
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 カスフォカ 酔っぱらった勢いで怒られに行くピ

NOVEL
なかたで沁みるのかず気にしたの / 怪我した教官をピが手圓おする話
䟡倀なら俺が決めおやる / 教官のお正月衣装の甚意をピが手䌝う話
倜に鳎らす / ふたりがピロヌトヌクする話
だっお共犯じゃないか / 色事に関しおはピの方が䞊手だよねずいう話
酔いどれの行先 / お酒で朰れた教官を介抱するピの話
たからさがし / 新幎䌚でピが教官のこずを探し回る話
ねおちるはなし / 決算で垳簿係たちが猶詰めしおる話

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1014R

 

5月29日 AM00:14
5月29日

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1014

 
 
ノィレノァンコラボネタ 癜スヌツ
 
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 ãƒŽã‚£ãƒ¬ãƒŽã‚¡ãƒ³ã‚³ãƒ©ãƒœãƒã‚¿


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Hetalia

 
  
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Hetalia

 

ふたりの銙氎を手に入れた
フランスだけ再販埅ちした

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むギリスは玠盎じゃない

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Hetalia

雚が降ったので仏英


 䞀週間のうち、五日も仕事に費やせばそれだけ庭の萜ち葉は山を高くしおいく。
 ほんずうなら今日、無事にその週の劎働を終えた土曜の昌䞋がりに自分は、雚の空気を肺いっぱいに取り蟌みながら、倕刻にふたたび蚪れるであろう曇倩がこの庭の土を濡らす前に、ある皋床の掗濯物を干し、ある皋床の萜ち葉を取り陀き、リヌス䜜りのための枝ず朚の実を拟う぀もりだった。
 予定が倉わったのは、曇倩が顔を芗かせるよりも先に、隣囜の腐れ瞁が玄関の呌び鈎を鳎らしたからだ。

「雚倩䞭止の芳戊チケットの䌚堎がむギリスだったのを芋た瞬間から、なヌんか嫌な予感がするずは思っおたんだよなヌ。どうしお買っちゃったんだか。たあ芳たいっお蚀われたからだけどさヌ、止めずけっお蚀えばよかったぜ」

 家䞻の了承もそこそこに抌し入るように家に䞊がり蟌んできた男の、舞台圹者のように倧袈裟な萜胆衚珟に舌打ちをひず぀しお、アヌサヌは早くも招き入れたこずを埌悔した。

「それ俺んち関係ねヌじゃねえか。いちゃもん぀けんなよ」
「嗚呌、パリなら今日は晎れだったずいうのに。海越えただけでこヌんなに違うんだもんなあ」
「だからうるせえな、今は止んでるっ぀の」
「さっき歩いおるずき小路で泥が跳ねたからほら、靎も汚れたし。䜕でおたえんちの前っお舗装しねえの」
「  なるほど。その靎なら十分ワックスで磚かれおいる気がするが、さらに磚いお欲しいずいうこずだな 理解が遅くなっおすたない」

 フランシスの顔面ぞの䞀発は埌々が面倒くさいので「お兄さんのこの矎貌は䞖界の宝よ」ず䞻匵するこの男は、五十幎も昔の喧嘩のこずですら根に持っおいお、そしおそれがたるで぀い最近のこずであるかのようにねちねちず話しおくる、足でも螏んでやろうかず振り向けば、アヌサヌの臚戊態勢を圓然のように察知したフランシスはくるりず螊りながら間合いを取った。
 そしお手に持った玙切れをぎらぎらず靡かせお、「だからヌ、暇を朰すためにお前ん家に来たの。どうせ家に居たろ」ず、これたた無瀌の䞊曞きをしおくる。
 アヌサヌはいた明確に腹が立ったので、゜ファに眮いおあるクッションを顔面目掛けおぶん投げおやった。憎きフランス男がそうだず䞻匵する、䞖界の宝に芋事クリヌンヒットする。ざたヌみろ。最短距離だからず巊手で掎んだクッションだったが、経隓倀を積めば利き手ではなくずも十分にコントロヌルは利くのだ。
 きっずこれも五十幎先たでい぀ものように恚たれるのだろうが、アヌサヌの腹が立ったからずいう公然たる理由があるので気にしない。この髭が悪いのであっお、アヌサヌに非は無い。
 お前ねえ ず喚くフランシスの手から滑り萜ちたチケットを拟い䞊げるず、そこには確かに今日決勝が行われるはずの詊合の名前が蚘されおいた。しかもペアチケットである。開始予定時刻は今から数時間ほど埌ではあるが、それにしおは今歀凊にコむツが居るのはおかしい。

「盞手、どうしたんだよ」
「ん ああ、雚倩䞭止だから明け方に雚の時点で無しっお話だったんだよ。䌚堎がむギリスだったからなヌ。念には念を入れおおいお正解だったぜ」
「おっずここに䞁床よく花瓶が」
「埅お埅お、陶噚は投げるな痛いから」

 サむドテヌブルに眮かれおいた癜い花瓶に䌞ばそうずした手を咄嗟に掎たれる。い぀の間に空いおいた距離を詰められたのだろうかず、その無駄に長い脚を恚めしそうに眺め、そのたた芖線を䞊げようずしたら途䞭でちゅうず唇を食たれた。いや、どちらかずいうず塞がれた。文句を蚀わせないためだ。
 女に愛を囁くのず同じくちびるで平気で男の口も吞うのだから、こい぀はいっぺん痛い目を芋た方がいいずアヌサヌは垞々思っおいるのだけれど、散々その頬を叩かれ赀く腫れようずもヒヌルで蹎られようずも、フランシスはそう生きるこずをやめないのだろう。それが圌を愛の囜たらしめるのであり、たああれだ、回遊魚みたいなものなのかもしれない。止たっおしたっおは死ぬのだ、きっず。
 なのでアヌサヌに出来るこずず蚀えばたず、調子に乗っおこちらの衣服を乱し始め、呆れお開いおいた口の隙間から舌を入れおこようずしおいる男の腹に力いっぱい拳をお芋舞いするこずだった。

「ッお――― もう、本圓に容赊ねえな」
「  お前、䜕か぀けおるか くちに」
「お兄さんの話を聞いお   っお、くち」

 離れおいった唇が、唟液ずもちがうぬるりずしたものを残しおいく。舐めずっおみるずほのかに薬品の味がした。女が塗るグロスの甘ったるい銙りが錻先を掠めた気がしたのだが、それずもたた違うようだ。

「リップバヌムなら぀けおたけど。぀いちゃった 䜕だかえっちだね」
「うるせえよ。い぀もこんなん぀けおたか」
「぀けおたすヌ いっ぀もぷるぷるでしょ、お兄さんの唇は」

 それはたあ吊定しないのだが、吊定しない根拠を自身が持ち埗おしたっおいるこずに䜕だか悔しさを感じお、アヌサヌはそのべた぀いた唇を手の甲で拭った。
 フランシスはそれを芋おやっぱりマナヌがなっおないなんお怒っおいたけれど、残り銙なら窓を開けおしたえばさっさず消えるのに、こんなものを残すなんおタチがわるいんだよ、お前は。


◇


 フランシスが遥々海峡を越えおこの地を蚪れたずしおも、ふたりがするこずは䜕の事はない、ただ日垞を過ごすだけだった。
 䌑日をフルで䜿っおしたっおは家事が回らない。だから隣囜が来おいようが構わずアヌサヌは掗濯機を動かすし、溜たっおいた郵䟿物の敎理をする。
 その間フランシスは゜ファに寝ながら地域新聞を広げたり、ラゞオを流しながら料理の䞋ごしらえをしたりしお、アヌサヌの庭いじりの区切りがいいタむミングを芋蚈らっおお昌にしようず声を掛けおくる。
 挂っおくるコン゜メの銙りに心が浮き立っお、返事をするみたいにお腹がくぅず鳎るので、フランシスに聞かれおいないであろうその距離にアヌサヌはい぀も安堵するのだった。
 以前、週末をむギリスで過ごしおしたうフランシスに家事をどうしおるのか聞いたこずがあるのだが、掗濯物は也燥機付きのものにぶち蟌むかクリヌニングに出すかで枈たしおいるず蚀っおいたので、おそらく他の家事も䌌たような感じなのだろう。垃地の具合によっお手掗いしたりするアヌサヌず違っお、楜ができるのなら楜をするのがフランシスだ。


「あヌ、やっぱり降っおきちたったじゃねえか」

 フランシスお手補のビヌンズがごろごろ入った枩かいスヌプをすくっおいる途䞭で、雚粒が窓を叩き始めた。この髭の来客察応がなければもうすこし早くから颚を圓おられただろうに、もしもただシヌツが湿っおいたずしたら埌で詫びずしおプディングを䜜らせようず心に決める。出しっぱなしの掗濯物を取り蟌もうず庭に向かえば、続いおフランシスも倖に出おきたのでアヌサヌは驚いた。
 䜕をしおいるのかずいうアヌサヌの芖線に、フランシスは片目を瞑っお笑顔をみせる。

「俺のせいにされたら嫌だからね。ふたりでやれば早いでしょ」

 どう取り繕おうずもこの髭のせいなのだが、顔で誀魔化せるず思っおいるコむツは心底腹立たしい。
 それが正しいにしろそうでないにしろ、フランシスの蚀う通りにするのは䜕だか癪だったので、アヌサヌは抱えおいたシヌツを思い切り投げ぀けおやった。頭からすっぜりずシヌツを被ったフランシスが慌おお䞡手足でもがくのをべははず笑いながら、アヌサヌはさらにバスタオルを二枚ず、キッチンクロスをたずめお䞊から重ねる。足先がゞヌンズの、䞍栌奜で立掟なゎヌストの完成だ。
 残りの衣類を抱えお宀内に戻る際、段差になっおいるバルコニヌ脇の窓の前でもた぀いおいるゎヌストの背䞭を抌したら、そのたた腕を掎たれおふたりでダむニングの床になだれ蟌むハメになった。痛い。もっずもアヌサヌはゎヌストの䞊に倒れたので、痛かったのは受け身を取ろうずしお打ち぀けた肘だけだったけれど、䞋敷きになったフランシスはもっずダメヌゞを受けたに違いない。蛙が朰れたような声がシヌツの䞋から聞こえおきたから、たぶんそれなりに。
 しばらく眺めおいるずずるりずシヌツがめくれ、すこし涙目のゎヌストが顔を出した。あたりにも情けない顔が珟れたから、堪えきれず吹き出しおしたう。

「悪いこずしおるの、だヌれだ」
「お前だろ。せっかく干したのにしわくちゃにすんなよそれ」
「はいはい。俺が䜿えるように干しおくれたんだもんね。だったら遊ぶなよ」
「お、お前のためなんかじゃっ んむ、」

 女に愛を囁くのず同じくちびるが、たたアヌサヌの口を塞ぐ。拭ったはずの唇が、たたべたべたになる。
 フランシスがアヌサヌの家を蚪れようずも、アヌサヌは日垞を過ごすだけだった。い぀の間にかその日垞にフランシスが組み蟌たれおいたけれども、それを認めた蚳じゃなかった。
 だからこうしお、来客のためにわずかな時間を芋぀けおシヌツを干すのも、今週も来るだろうかず家に居るのも、アヌサヌはただ日垞を過ごしおいるだけであっお、それは残り銙みたいに䞍確かなものであっおほしくお、こんな、くちびるに残されるリップバヌムみたいなものは、蚱したくないのに。

「んん、しっ  ぀、こい」
「  本圓はさあ」
「ぁあ」
「雚倩䞭止じゃないんだよね、今日の」

 そう蚀っお眉を䞋げた男が口の端にキスをしおきたので、アヌサヌは折れるなら今しかない、ず思った。
 雚倩䞭止じゃないなんお、さっきチケットの玙面を芋たずきから知っおいた。この男が最埌の最埌に詰めが甘くおヘタレで、どうしようもないなんおこずは千幎も前から知っおいた。

――やるなら最埌たでやり通せよ、ほんずうに。

 男のくちびるに残るリップバヌムのべた぀きを自ら舐めずっお、その銙りが錻腔をくすぐっお、驚きで目が芋開かれたフランシスのう぀くしい顔を間近で芋たずき、たた䞀週間が始たるのだなずアヌサヌは思うのだった。
 きっずシヌツも䜕もかも掗い盎しになるけれど、そんな日垞も、たあ、悪くはないのかもしれない。

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Hetalia

知らないなんお蚀わないで仏英


 フランスずいう男は非垞に飜きやすい性栌をしおいる。
 本人は流行の最先端を远っおいるだけなどず豪語しおいるが、ファッションのみならず女も、䜏居さえも飜きやすくしょっちゅう倉えおいる。そしおその床に迷惑な通知をひず぀だけむギリスに寄越す。
――『珟圚地』の䜍眮情報だけがポンず送られおきたメッセヌゞ画面を芋お、むギリスはたたかずその連絡を無芖するこずにした。

   ◇

「――Shit!! ああもう、䜕だっおんだ」

 パリ北駅のガラス匵りの駅舎を背に、肌寒い颚を感じながら叫んだずころでどうにもならない。出匵先から拟ったタクシヌがハズレで延々ず遠回りをされた挙句、枋滞にも巻き蟌たれ、そしおク゜運転手がメヌタヌ分料金を払えず䞻匵するのでそれはもう䞁寧に盞手をしおやった。
 ただ、盞手をしおやったせいで出囜手続きたでの時間は残り僅か、おそらく自分なら諞々を簡略しおねじこんでもらえるだろうけれど、このフランスのど真ん䞭でそんなこずが出来るかずむギリスの理性が終電に飛び乗るこずを諊める道を遞んだ。「拟うタクシヌをミスっお運転手ず喧嘩した挙句終電を逃しそうだからお前ん家の囜民にどうにかしおもらった」なんお、死んでもフランスの耳には入れたくない。
 こんなこずなら玠盎にメトロで移動をすればよかった。埌悔したっお意味はないのだが、どこからかいけ奜かない髭の声が聞こえおくる気がしお苛立ちが増す。
 今からホテルを探すにしおも、今曎そんなこずを起こすかずいうあたりにも情けない理由なので気が進たない。必然的に名乗るこずになり、そしおそれはどういう䌝手か結局フランスの耳に入る。螏んだり蹎ったりだ。今床䌚った時反射的に殎っおしたうかもしれない。いや、殎ろう。
 そう決意しお、駅から離れようずタクシヌ乗り堎からすこし歩いただけでむギリスの苛々はさらに増した。
 ワむン野郎のほくそ笑んでいる顔がちら぀いたのも、駅前で隒いでいる若者の声がうるさいのも、さっきのタクシヌの運転手の悪態も苛立ちの原因のひず぀だけれど。
 䞀番の原因は間違いなく、通り沿いにあるカフェを目にしお䜙蚈なこずを思い出しおしたったせいだ――あのカフェテラスは過去、フランスの浮気珟堎を運悪く目撃した堎所だった。

 そう、哀しいこずにむギリスずフランスは付き合っおいた。飜き性な男の気たぐれに巻き蟌たれた情けない男が自分だ。
 だからこそ知っおいるのだ、あのク゜髭がどうしようもなく移り気な薄情者で、ファッションも女も、男も、䜏居さえもしょっちゅう倉えおいるこずを。


     ◇


「おいク゜髭ワむン野郎、未だに電子機噚の䜿い方がわからねぇようだからこのむギリス様が䞀から教えおやっおもいいぜ。䜕なんだよこの意味䞍明な䜍眮情報は」
「Bonjour. やあ、盞倉わらず元気な眉毛しおんねむギリス。䌚っお早々䜕なの お兄さん朝からそんなに隒ぐ元気ないんだけど」
「ずがけんな あずお前はもうおっさんだおっさん。぀ヌかこれだよ、間違えお送っおきたのかよお前」
 ドむツで行われた䌚議で、珍しく早い時間から垭に぀いおいたフランスぞずスマヌトフォンを突き付けおやった。
 それはフランスずのメッセヌゞ画面で、昚晩のものである。そこには䜕もメッセヌゞが添えられおおらず、機械的に発信されたであろう䜍眮情報のURLず緯床経床だけが届いおいた。面倒くさそうに片方の眉を吊り䞊げながらフランスはその画面をたじたじず芗き蟌んだ。

「んヌ   あはは、そうかも。いや昚日珍しく結構飲んじゃっおさあ。䜕か適圓に画面いじったような気もするわ」
「酔っぱらっお俺に迷惑なメッセヌゞを送っおくんな。あず䌚議前日にアホみたいに飲んでんじゃねえよ」
「わかったわかった、むギリスちゃんはわざわざそのメッセヌゞを気にしお聞いおきおくれたんだ」
「んなわけねヌだろめでたい頭しおるや぀だな」

――今思えば、この時はうたいこずはぐらかされたのかもしれない。
 あの時たしかにフランスは間違えお送ったのだず蚀っおいた。けれど、酔っ払いから発信される䜍眮情報はその埌も䞍定期にトヌクアプリに届き続けた。酒に溺れお珟圚䜍眮を送り付けおくる癖がある男なんお最悪だ。そうでなければ、フランスずいう男は骚の髄たで機械音痎ずラベリングされおいる奎なのかもしれない。どちらにせよこの男ず付き合っおいた過去を今すぐ消し去りたい。

 この通知はたるでフランスの気たぐれそのものだ。
 ある時は駅前、ある時は倧孊の傍、たた戻っおきお垂街䞭心郚の通り沿いのアパルトマン。早いずきは䞉ヶ月で次の通知が来る。――䞀床、たたたた近くに居たずきにその堎所ぞ蚪れたこずがあったのだが、そこで目にしたのはフランスず寄り添い歩くブロンドの矎女だった。
 それ以来、むギリスはその通知を『逢匕報告』ず呌ぶこずにしおいる。

 だから、この通知は無芖しおいいのだ。
 きっず移り気な薄情者がその様をむギリスに自慢したいだけなのである。どうだ、俺はもう次の盞手を芋぀けたけど ずいう髭のしたり顔が目に浮かぶ。
 こっちはフランスず別れお以来誰ずも関係を持っおいないのに、随分ず酷い男だずむリギスは思った。


     ◇


「――で、結局俺に連絡しおきお䜕なの 無理にナヌロスタヌ乗りゃあ良かったじゃんよ。駅員に迷惑掛けるか俺に迷惑掛けるかの差じゃねえの。あのね、お兄さんはこれから䞀杯やろうず思っおたの。それがお前の電話に捕たっお出掛け損ねたわけ」

 フランスの声が電話口から聞こえる床に、この小䞀時間脳裏に思い描いおいた憎たらしい髭面が心底面倒そうな顔ぞず倉わっおいく。
 想像䞊のフランスの顔はずおもコミカルだ。ばかみたいな幎月突き合わせた腐れ瞁の顔。今どんな顔をしおいるのかなんお、声だけで分かる。

「だからお前に迷惑掛けるこずにしたんだろ。いいじゃねえか、ただ家に居るんならホテル手配しおくれよ」
「ぞええ、そういうこず蚀う おいうか人に物を頌む態床じゃなくない 玠盎じゃないねむギリス、お兄さんは可愛らしく『お願い』が聞けるんだず思っおたけど」
「次に䌚った時はお前のムカ぀く髭面の顎を目掛けお䞁重に䞀発お芋舞いしおやるし、぀いでに脛を蹎り飛ばすサヌビスも付けおやる。だから今倜だけは頌む」
「だからじゃねヌだろおかしいでしょうが色々」

 路䞊で電話を掛けながら乱暎な蚀葉を発しおいるむギリスを避けるように、終電垰りの䌚瀟員が小走りで去っおいく。
 あのあず、むギリスは気が付けばスマホでフランスの電話番号を呌び出しおいた。䞀連の苛立ちのあたり文句を吐き出したくなったのだ。はっきり蚀っお銬鹿そのものである。フランスの蚀うこずは尀もであるし、ここは玠盎に頌み蟌むべきなのに、肝心の口からは悪口しか出おこない。

 でも盞手がフランスならば仕方がない。だっおアむツはフランスで、俺はむギリスなのだ。だからむか぀く、ず思ったら次には殎らなければならないのだ。それが自分たちの関係なのだから、仕方がない。

 時刻は二十二時を過ぎようずしおいる。いくらパリずいえども治安が良いずは蚀えない時間垯だ。それに出匵しおいた関係で堅苊しい栌奜をしおいるが故に、暙的にもされやすいだろう。正盎チンピラに絡たれようずもむギリス自身䜕の問題も無いのだが、他囜で、しかもフランスで問題を起こすのだけは避けたい。

「  はあ、たあいいけど。でも今からホテル手配すんのは面倒だしパス。うちの子に迷惑だし」
「じゃあどうしろっおんだよ。朝たで飲めるバヌか野宿できる公園でも玹介しおくれんのか」
「そんなわけないでしょ。  俺ん家、来なよ。むギリス、堎所知っおるだろ」
「    はぁ」

 今フランスは䜕ず蚀っただろうか。コむツの家 溜息たじりに蚀われたそのフレヌズを幟床か反芻させお、倉わりようのない蟿り぀いた結論にむギリスは蟟易した。
 むギリスの予想が正しければフランスは䜕床も匕っ越しをしおいる。なにせ生粋の飜き性である。ファッションだっお女だっお良いず思えばすぐ倉える。そうやっお䞀ヶ所に留たっおいられない盞手ぞの郵䟿が返送された回数を数えるのはずうの昔にやめたのだ。
 これは経隓に基づく予想だけれど、むギリスずフランスが別れおから十回近く家を倉えおいるのではないだろうか。飲み䌚の埌、垰っおいく方面がその床に違っおいたような気さえする。仮にそうだったずしお、その間の䜏所なんおむギリスは知らないし、今の䜏んでいるずころだっお知らない。別れた男を远いかける趣味はない。いったい䜕なのだろうか、この茶番は。

「  俺はお前の家の䜏所なんお知らねえよ」
「あっそう。じゃあ野宿すれば 知らないフリするなんお」
「フリじゃなくお、本圓に知らねぇんだよ。だいたいお前バカみたいに匕っ越しお――」

   だから、知っおるでしょ。
 むギリスの蚀葉を遮るようにフランスは蚀う。その声色が怒りも呆れも含んでいないこずに気が付いお、むギリスはすこしだけ違和感を芚えた。それはしばらく成りを朜めおいたのだ。フランスず別れおからずっず、聎いおいない声だなず思った。

「俺はね、むギリス。アドレスが送られおきお舞い䞊がるような奎より、迷惑だっお突っかかっおくる奎の方が奜きだったみたいなんだよね。  お兄さん、マゟなのかも」

   だから、俺は知らねえよ。
 そう蚀えたのならよかった。さきほどむギリスが無芖するず決めた䜍眮情報は、パリ北駅から䞀区先の通りを瀺しおいる。その画面を芋ながら、そしおスピヌカヌから挏れ出るフランスの声を聎きながら、もしかしたら、ず思ったのだ。
 確信があったわけじゃない。そしおむギリスに別れた男を远いかける趣味はないけれど、残念ながら、ばかみたいな幎月顔を突き合わせお来た隣囜の男の、劙な癖やら奜みやら、考え方をなんずなく知っおしたっおいるだけで。
 思い浮かんだ可胜性に、銬鹿じゃねえのず文句を吐きながらも歩き続けたのは、数幎続いたフランスの茶番に、最埌くらい付き合っおやろうず思ったからだ。

「  ほヌらね、知っおんじゃん。あず名誉のためにひず぀蚀っおおくけど、俺、むギリスず付き合っおるずき浮気なんおしおないよ」

 建物の前に癜い息を吐きながら立぀芋知った髭面を芋た時、むギリスは殎っおやろうず決めおいたこずなんお、もうすっかり忘れおしたった。

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