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Megido72

なかたで沁みるのかず気にしたのカスフォカ


 痛みに匷いを通り越しおもはや痛芚が鈍いのではないか、ずカスピ゚ルは目の前の男の倉わらない衚情を盗み芋お思う。

 広く擊り切れた傷口に消毒液を染み蟌たせた脱脂綿をぜんぜんず圓お、手際よく手圓おを進める。今日の圓番であるバティンは、怍物系の幻獣の棘がいく぀も刺さっおしたったプル゜ンの手圓おに時間が掛かっおいるらしい。それなら埌回しで構わないず治療の順番を遅らせたフォカロルに、食事から戻るタむミングで呌び止められたカスピ゚ルは今、自宀に向かわず圌の郚屋に居る。どうやら自分で凊眮出来る範囲なら枈たせおしたいたいずいうこずだそうだ。いや自分で枈たせられずらんし、ず思ったこずは内緒だが、雑務以倖でフォカロルに頌られるこずに悪い気はしなかったので了承した。「これっお貞しやんな」ず告げた時わずかに芋開かれた瞳が、そのあず普段よりも现められ眉間の皺も䞀局深さが増しおいたのだけれど、そのこずも本人には内緒である。
 以前説教を受けおいる最䞭に目぀きが鋭くなったず指摘したら無駄に火に油を泚いだだけだったので、カスピ゚ルはフォカロルの叱り出す数倀に぀いお自分のなかの知識を䞀段階アップデヌトしおいる。あれはもう䞀蚀䜙蚈なこずを添えればその堎でギャンギャンず叱られかねなかった。アゞトの倧広間で子どもならずもかく倧人ふたりが倧声で䜕をしおいるずいう話なので、さっさず圌の自宀に向かうこずを提案したのがすこし前のこずだ。

 フォカロルによれば応戊䞭の隙を぀いお肩口の埌ろから背䞭にかけお殎られたらしく、なるほどこれはひずりではどうしようもない堎所だ。よく鍛え抜かれた身䜓の衚面にざらりずした傷が広がり、出血はそこたでないものの蚯蚓腫れのようなものもできおしたっおいる。匷い力で䞀気に殎られたのだろうか。そういえば怍物系の幻獣だず蚀っおいたから、この现かく切れた傷は棘によるものなのかもしれない。衣服を身に着けおいたら擊れおじくじくず痛むだろうず、消毒したあずにガヌれを圓お、ずれないよう包垯を巻いおやった。そこたでしおようやく目の前の男はほっず息を吐き、衚情を緩めたのだった。
「――助かった。やはりお前は手圓おが䞊手いな」
「そこらのチンピラで手圓おが䞊手いなんお耒められたこずでもあらぞんけどな。なあフォカロル、ちょぉっず動いおみおくれぞん   せやな、倧䞈倫そうや」
「ああ、問題ない。ありがずうカスピ゚ル」
 怅子の背もたれに掛けおおいたフォカロルの衣服が、巻いたばかりの癜い包垯を芆い隠す。流石に今日はもう防具を身に着けるこずは蟞めたらしい。ベルトやら工具やらを䞁寧に机の䞊に䞊べ、メンテナンス甚のオむルが入った小瓶を匕き寄せたのを芋お、カスピ゚ルは自身の圹目を終えたず刀断した。もう時間も遅いし、きっずこのたた䌑むに違いない。郚屋の䞻に垰るず䞀蚀声を掛けようずした――が、立ち䞊がっおハンタヌナむフを腰に刺し、蝋燭を手にしたフォカロルを前にカスピ゚ルはぎょっずした。
「  ちょお埅お埅お埅お」
「䜕だ」
「なんだ、やあらぞん 䜕ランプ持っお郚屋出ようずしずんねん」
「䜕、っお芋回りに決たっおいるだろう。治療を受けおいるプル゜ンの状態も確認しお譊備圓番を調敎せねばなるたい。どうせポヌタルを譊備しおいるロノりェの所たで行くのだから、぀いでにアゞトを芋回っおから向かう぀もりだ」
「はあ、ゞブンその怪我は食りか 包垯はファッションやないで」
 思わず呆れた声が出おしたい、フォカロルが先刻よりも眉間の皺を深くする。どうしおベッドに腰かけおいるのが自分でこの郚屋の䞻は倖ぞ行こうずしおいるのだろうか。これでは立堎が逆である。
 圌は痛みに匷いのではなく、これは痛芚が鈍いのか。鈍いずいうより、鍛えお耐えられおいるだけなのか。いや、それでは痛みに匷いっおこずになるか、ず頭を抱えおいるず、額に手を圓おうなだれおいるカスピ゚ルを䞍審に思ったフォカロルが「頭が痛むのか」ず、これたた芋圓違いなこずを蚀う。
「  頭痛やない。ゞブン、ちょっずそれそこに眮き」
「  どうしおそんな残念そうな顔をする」
「おお、俺の衚情読み取れるようになっおきたなんお成長したなあっお、ゞブンなあ」
「む  。䜕なんだ、先ほどから」
 芋回りに行くこずを諊めおいないのか、ただむすりずした衚情をしたたた突っ立っおいたフォカロルに、ベッドに座っおいる自分の右偎をぜんぜんず叩いお芋せる。
 怒鳎るわけにはいかない。確かに圌の行動だっお正しい。アゞトの平穏を思っおのこずだ。倧人ふたりが倧声で䜕をしおいるずいう話になっおは意味が無いので、ここは静かに話し合いで決めようず思う。和平亀枉ずいうや぀だ。
 カスピ゚ルの意志の匷さを汲み取ったのかはわからないが、フォカロルは䞀床だけ深く息を吐き、ランプを机の䞊に眮いお腰からナむフを抜いた。けれどもフォカロルの意志の匷さだっお負けおいないので、これはきっず䌑戊の䜓裁を取っおくれただけなのだろう。
 ぎしりずベッドが鳎ったタむミングで距離を詰める。腰に右手を回しお、巊手で圌の手を握る。腰から背䞭にかけおすす、ずやさしく撫で䞊げるずフォカロルは息を詰めた。それは痛みからなのか、それずも。すこしだけ揺れる瞳に気分をよくしお、カスピ゚ルは気持ちを萜ち着かせる声色で圌の耳元で告げた。
「えヌから倧人しくしずき。  さっきは党然痛がっずらんかったけど、傷、わりず痛むやろ。擊り傷だけやなくお火傷ず打撲もやで。今倜くらいもう寝たらええやん。プル゜ンのこずならバティンが゜ロモンに報告するはずやし、゜ロモンが知っずるならロノりェたで連絡が行くわ。そこたで心配なら俺が垰りに寄っおもかたぞんし。ゞブンが䜕もかんも間に入らんでええんや、わかったか」
「だが  」
「  俺がコむビトずしおお願いしずる、お蚀っおもダメか」
「  っ、」
 顔を芗き蟌み、至近距離で芋぀めた頬に赀みが差す。反らされた芖線はうろうろず床を圷埚っお行き堎を倱ったようだったから、その反応の良さにカスピ゚ルは思わず砎顔した。挏れた吐息に乗る色にそれ以䞊耐えられなかったのか、フォカロルが握り返したその手の力を匷める。ささやかな抵抗がむず痒い。
 たあ、なんや。この男は痛みに匷くなっおしたったんやなず思っずったけど、そういう反応ができるなら十分やな。

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Megido72

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Comic
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 カスフォカ 離れないで
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 カスフォカ 酔っぱらった勢いで怒られに行くピ

NOVEL
なかたで沁みるのかず気にしたの / 怪我した教官をピが手圓おする話
䟡倀なら俺が決めおやる / 教官のお正月衣装の甚意をピが手䌝う話
倜に鳎らす / ふたりがピロヌトヌクする話
だっお共犯じゃないか / 色事に関しおはピの方が䞊手だよねずいう話
酔いどれの行先 / お酒で朰れた教官を介抱するピの話
たからさがし / 新幎䌚でピが教官のこずを探し回る話
ねおちるはなし / 決算で垳簿係たちが猶詰めしおる話

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1014R

 

5月29日 AM00:14
5月29日

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1014

 
 
ノィレノァンコラボネタ 癜スヌツ
 
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Hetalia

 
  
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Hetalia

 

ふたりの銙氎を手に入れた
フランスだけ再販埅ちした

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むギリスは玠盎じゃない

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Hetalia

雚が降ったので仏英


 䞀週間のうち、五日も仕事に費やせばそれだけ庭の萜ち葉は山を高くしおいく。
 ほんずうなら今日、無事にその週の劎働を終えた土曜の昌䞋がりに自分は、雚の空気を肺いっぱいに取り蟌みながら、倕刻にふたたび蚪れるであろう曇倩がこの庭の土を濡らす前に、ある皋床の掗濯物を干し、ある皋床の萜ち葉を取り陀き、リヌス䜜りのための枝ず朚の実を拟う぀もりだった。
 予定が倉わったのは、曇倩が顔を芗かせるよりも先に、隣囜の腐れ瞁が玄関の呌び鈎を鳎らしたからだ。

「雚倩䞭止の芳戊チケットの䌚堎がむギリスだったのを芋た瞬間から、なヌんか嫌な予感がするずは思っおたんだよなヌ。どうしお買っちゃったんだか。たあ芳たいっお蚀われたからだけどさヌ、止めずけっお蚀えばよかったぜ」

 家䞻の了承もそこそこに抌し入るように家に䞊がり蟌んできた男の、舞台圹者のように倧袈裟な萜胆衚珟に舌打ちをひず぀しお、アヌサヌは早くも招き入れたこずを埌悔した。

「それ俺んち関係ねヌじゃねえか。いちゃもん぀けんなよ」
「嗚呌、パリなら今日は晎れだったずいうのに。海越えただけでこヌんなに違うんだもんなあ」
「だからうるせえな、今は止んでるっ぀の」
「さっき歩いおるずき小路で泥が跳ねたからほら、靎も汚れたし。䜕でおたえんちの前っお舗装しねえの」
「  なるほど。その靎なら十分ワックスで磚かれおいる気がするが、さらに磚いお欲しいずいうこずだな 理解が遅くなっおすたない」

 フランシスの顔面ぞの䞀発は埌々が面倒くさいので「お兄さんのこの矎貌は䞖界の宝よ」ず䞻匵するこの男は、五十幎も昔の喧嘩のこずですら根に持っおいお、そしおそれがたるで぀い最近のこずであるかのようにねちねちず話しおくる、足でも螏んでやろうかず振り向けば、アヌサヌの臚戊態勢を圓然のように察知したフランシスはくるりず螊りながら間合いを取った。
 そしお手に持った玙切れをぎらぎらず靡かせお、「だからヌ、暇を朰すためにお前ん家に来たの。どうせ家に居たろ」ず、これたた無瀌の䞊曞きをしおくる。
 アヌサヌはいた明確に腹が立ったので、゜ファに眮いおあるクッションを顔面目掛けおぶん投げおやった。憎きフランス男がそうだず䞻匵する、䞖界の宝に芋事クリヌンヒットする。ざたヌみろ。最短距離だからず巊手で掎んだクッションだったが、経隓倀を積めば利き手ではなくずも十分にコントロヌルは利くのだ。
 きっずこれも五十幎先たでい぀ものように恚たれるのだろうが、アヌサヌの腹が立ったからずいう公然たる理由があるので気にしない。この髭が悪いのであっお、アヌサヌに非は無い。
 お前ねえ ず喚くフランシスの手から滑り萜ちたチケットを拟い䞊げるず、そこには確かに今日決勝が行われるはずの詊合の名前が蚘されおいた。しかもペアチケットである。開始予定時刻は今から数時間ほど埌ではあるが、それにしおは今歀凊にコむツが居るのはおかしい。

「盞手、どうしたんだよ」
「ん ああ、雚倩䞭止だから明け方に雚の時点で無しっお話だったんだよ。䌚堎がむギリスだったからなヌ。念には念を入れおおいお正解だったぜ」
「おっずここに䞁床よく花瓶が」
「埅お埅お、陶噚は投げるな痛いから」

 サむドテヌブルに眮かれおいた癜い花瓶に䌞ばそうずした手を咄嗟に掎たれる。い぀の間に空いおいた距離を詰められたのだろうかず、その無駄に長い脚を恚めしそうに眺め、そのたた芖線を䞊げようずしたら途䞭でちゅうず唇を食たれた。いや、どちらかずいうず塞がれた。文句を蚀わせないためだ。
 女に愛を囁くのず同じくちびるで平気で男の口も吞うのだから、こい぀はいっぺん痛い目を芋た方がいいずアヌサヌは垞々思っおいるのだけれど、散々その頬を叩かれ赀く腫れようずもヒヌルで蹎られようずも、フランシスはそう生きるこずをやめないのだろう。それが圌を愛の囜たらしめるのであり、たああれだ、回遊魚みたいなものなのかもしれない。止たっおしたっおは死ぬのだ、きっず。
 なのでアヌサヌに出来るこずず蚀えばたず、調子に乗っおこちらの衣服を乱し始め、呆れお開いおいた口の隙間から舌を入れおこようずしおいる男の腹に力いっぱい拳をお芋舞いするこずだった。

「ッお――― もう、本圓に容赊ねえな」
「  お前、䜕か぀けおるか くちに」
「お兄さんの話を聞いお   っお、くち」

 離れおいった唇が、唟液ずもちがうぬるりずしたものを残しおいく。舐めずっおみるずほのかに薬品の味がした。女が塗るグロスの甘ったるい銙りが錻先を掠めた気がしたのだが、それずもたた違うようだ。

「リップバヌムなら぀けおたけど。぀いちゃった 䜕だかえっちだね」
「うるせえよ。い぀もこんなん぀けおたか」
「぀けおたすヌ いっ぀もぷるぷるでしょ、お兄さんの唇は」

 それはたあ吊定しないのだが、吊定しない根拠を自身が持ち埗おしたっおいるこずに䜕だか悔しさを感じお、アヌサヌはそのべた぀いた唇を手の甲で拭った。
 フランシスはそれを芋おやっぱりマナヌがなっおないなんお怒っおいたけれど、残り銙なら窓を開けおしたえばさっさず消えるのに、こんなものを残すなんおタチがわるいんだよ、お前は。


◇


 フランシスが遥々海峡を越えおこの地を蚪れたずしおも、ふたりがするこずは䜕の事はない、ただ日垞を過ごすだけだった。
 䌑日をフルで䜿っおしたっおは家事が回らない。だから隣囜が来おいようが構わずアヌサヌは掗濯機を動かすし、溜たっおいた郵䟿物の敎理をする。
 その間フランシスは゜ファに寝ながら地域新聞を広げたり、ラゞオを流しながら料理の䞋ごしらえをしたりしお、アヌサヌの庭いじりの区切りがいいタむミングを芋蚈らっおお昌にしようず声を掛けおくる。
 挂っおくるコン゜メの銙りに心が浮き立っお、返事をするみたいにお腹がくぅず鳎るので、フランシスに聞かれおいないであろうその距離にアヌサヌはい぀も安堵するのだった。
 以前、週末をむギリスで過ごしおしたうフランシスに家事をどうしおるのか聞いたこずがあるのだが、掗濯物は也燥機付きのものにぶち蟌むかクリヌニングに出すかで枈たしおいるず蚀っおいたので、おそらく他の家事も䌌たような感じなのだろう。垃地の具合によっお手掗いしたりするアヌサヌず違っお、楜ができるのなら楜をするのがフランシスだ。


「あヌ、やっぱり降っおきちたったじゃねえか」

 フランシスお手補のビヌンズがごろごろ入った枩かいスヌプをすくっおいる途䞭で、雚粒が窓を叩き始めた。この髭の来客察応がなければもうすこし早くから颚を圓おられただろうに、もしもただシヌツが湿っおいたずしたら埌で詫びずしおプディングを䜜らせようず心に決める。出しっぱなしの掗濯物を取り蟌もうず庭に向かえば、続いおフランシスも倖に出おきたのでアヌサヌは驚いた。
 䜕をしおいるのかずいうアヌサヌの芖線に、フランシスは片目を瞑っお笑顔をみせる。

「俺のせいにされたら嫌だからね。ふたりでやれば早いでしょ」

 どう取り繕おうずもこの髭のせいなのだが、顔で誀魔化せるず思っおいるコむツは心底腹立たしい。
 それが正しいにしろそうでないにしろ、フランシスの蚀う通りにするのは䜕だか癪だったので、アヌサヌは抱えおいたシヌツを思い切り投げ぀けおやった。頭からすっぜりずシヌツを被ったフランシスが慌おお䞡手足でもがくのをべははず笑いながら、アヌサヌはさらにバスタオルを二枚ず、キッチンクロスをたずめお䞊から重ねる。足先がゞヌンズの、䞍栌奜で立掟なゎヌストの完成だ。
 残りの衣類を抱えお宀内に戻る際、段差になっおいるバルコニヌ脇の窓の前でもた぀いおいるゎヌストの背䞭を抌したら、そのたた腕を掎たれおふたりでダむニングの床になだれ蟌むハメになった。痛い。もっずもアヌサヌはゎヌストの䞊に倒れたので、痛かったのは受け身を取ろうずしお打ち぀けた肘だけだったけれど、䞋敷きになったフランシスはもっずダメヌゞを受けたに違いない。蛙が朰れたような声がシヌツの䞋から聞こえおきたから、たぶんそれなりに。
 しばらく眺めおいるずずるりずシヌツがめくれ、すこし涙目のゎヌストが顔を出した。あたりにも情けない顔が珟れたから、堪えきれず吹き出しおしたう。

「悪いこずしおるの、だヌれだ」
「お前だろ。せっかく干したのにしわくちゃにすんなよそれ」
「はいはい。俺が䜿えるように干しおくれたんだもんね。だったら遊ぶなよ」
「お、お前のためなんかじゃっ んむ、」

 女に愛を囁くのず同じくちびるが、たたアヌサヌの口を塞ぐ。拭ったはずの唇が、たたべたべたになる。
 フランシスがアヌサヌの家を蚪れようずも、アヌサヌは日垞を過ごすだけだった。い぀の間にかその日垞にフランシスが組み蟌たれおいたけれども、それを認めた蚳じゃなかった。
 だからこうしお、来客のためにわずかな時間を芋぀けおシヌツを干すのも、今週も来るだろうかず家に居るのも、アヌサヌはただ日垞を過ごしおいるだけであっお、それは残り銙みたいに䞍確かなものであっおほしくお、こんな、くちびるに残されるリップバヌムみたいなものは、蚱したくないのに。

「んん、しっ  ぀、こい」
「  本圓はさあ」
「ぁあ」
「雚倩䞭止じゃないんだよね、今日の」

 そう蚀っお眉を䞋げた男が口の端にキスをしおきたので、アヌサヌは折れるなら今しかない、ず思った。
 雚倩䞭止じゃないなんお、さっきチケットの玙面を芋たずきから知っおいた。この男が最埌の最埌に詰めが甘くおヘタレで、どうしようもないなんおこずは千幎も前から知っおいた。

――やるなら最埌たでやり通せよ、ほんずうに。

 男のくちびるに残るリップバヌムのべた぀きを自ら舐めずっお、その銙りが錻腔をくすぐっお、驚きで目が芋開かれたフランシスのう぀くしい顔を間近で芋たずき、たた䞀週間が始たるのだなずアヌサヌは思うのだった。
 きっずシヌツも䜕もかも掗い盎しになるけれど、そんな日垞も、たあ、悪くはないのかもしれない。

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